連句1

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起首:平成22年5月26日
満尾:平成22年9月23日

小満の巻

01:発句:小満や蚕起き出し桑を食む・鴻風 
小満だなあ蚕も起き出して桑の葉を食んでいるよ。

02:脇句:一仕事終へ注ぐ走り茶・瓢花
蚕に桑の葉も与えて一仕事終えた。お茶でも注ごうか。 

03:表三:山開き六根清浄と杖つきて・與三右
富士山の山開きだ。六根清浄と杖をついて登ろうよ。

04:表四:五合目で会う虹の大橋・朋子
五合目まで登ってきたら小雨もやみ、虹の大きな橋がかかっているよ。

05:表五:百名山踏破の夢を追ひつ往く・薫子
富士山を一として、これからは百名山をとうはしてやろう。次は北の利尻山だ。

06:表折:湖畔に一人イーゼル立てる・有亭
夏の終わりに湖畔に来てイーゼル立てるのは有亭さんだろうか。
   
07:裏初:吹く風に新涼すでに覚えけり・江梅
夏だと言っていても、すでに秋風を肌身に感じるね。

08:裏二・授業開始の鐘を聞きつつ・清月
畑で耕していると、授業開始の鐘の音が新涼の中に聞こえてくるよ。 

09:裏三・手びねりの杯交す月明かり・一勝
「勧君更尽一杯酒」…王維と元二の漢詩の世界にも通じるじゃないか。

10:裏四・夢の世界へタイムスリップ・千枝
杯を交わしながら、夢をかたりあったあのころにタイムスリップしよう。

11:裏五・秋の夜や宇宙に想ひを馳せてゐる・朋子
夢の世界が宇宙とは大きいね。宇宙旅行に旅立とうよ。

12:折端・千の風吹き蟋蟀の鳴く・花惠
宇宙の果てから吹いてくる千の風。蟋蟀も鳴いて冬もまじかだ。 

13:名残・折立・あの人に逢ひたし雪の降れる街・紀子
あの人に逢いたくて、雪の降る街を急いで行く女の情念はすさまじいのだ。

14:・ホットコーヒーのほろ苦き香・千枝
恋しいあの人に逢えて、ほっとして二人で飲むほっとコーヒなのだ。

15:竹林の狭間を流る冬の川・花恵
恋の後の句には、こうした上品な俳句がふさわしいね。

16:静かに鳶空に輪を描く・瓢花
 いいね。地には「冬の川」。地上には「鳶」か。いいね。

17髪染めて若やぐこころ春隣・利久
 いいですね。16句目につけるには明るくていいね。

18:新譜のようなさざ波きたる・紀子
 う〜〜ん・わかる気はするんだけれど、高尚だね。

19:湖の小舟過ぎ行き山櫻・鴻風
 18句が「さざ波」だったので、湖としたのだが。

20:栄華称へし炭山仰ぐ・一勝
  かつては栄華をたたえていた炭山なんだが。今は仰ぐだけだ。

21:独活室にまづは蝋燭入れにけり・清月
 いいね。独活も作っているんだ。まずはロウソクを入れ酸素の確認だ。

22:祖母の手解き受くる味付け・有亭
  いいね。「うど」ばかりでなく、祖母の味付けは最高だものね。

23:遠き日の花火と共に消えし恋・美秋
 花火とともに消えた恋とは、失恋なんだろうね。

24:浴衣の絵柄いまも忘れじ・薫子
 いいね。あの時着ていた浴衣の柄は朝顔だったね。

25:手花火に浮かぶ縁側父の声・利久
 いいね。「父の聲」が、あいまいだけれど、いいね。

26:風鈴の音風を離るる・花惠
 いいね。すごく高尚な俳句だね。

27: 幼子のひとみ輝き花火かな・良子
 23句目に「花火」が出て後に戻るのだが4句前だから、ま、いっか。

28: 露も零さず朝貌の咲く・瓢花
 う〜ん。花火の過ぎた朝の光景か。幼児の育てた朝顔かな。いいね。

29: パヴァーヌを聴くためにある秋の夜・夕花
いいね。パヴァーヌとは16,7世紀の宮廷音楽。夕花さんは音楽家だものね。

30: 栓を抜かれし秘蔵のワイン・利久
 いいね。29句目につけるにはふさわしいか。

31:仲秋や生まれ来る子の名を思案・清月
  いいね。双子のお孫さんのお名前を考えるのもたいへんだ〜ぁ

32:子犬戯れてる転げし木の実・薫子
  かわいい俳句だ。前の句に近ず離れずだ。

33:冬の浜打ち上げられし子の玩具・紀子
 いいね。一句としてりっぱに独立した俳句だ。いい俳句だね。

34:ウルトラマンは己が心に・千枝
 いいね。打ち上げられた玩具はウルトラマンだったか。面白いね。

35:スーパーに節分の来て鬼笑う・美土里
  いいね。明日は立春だ。

36:挙句ににほふ山桜かな・鴻風
  みなさんの力で、連句が満尾となった。うれしいね。