句写美50号記念合同句集
質疑応答

その1:読めない漢字について(広辞苑・電子辞書・インターネットで調べてもわかりませんでした)

p6.p46「湖(みずうみ)」の読み方は「うみ」と読むのでしょうか?
(句写美のブログで「うみ」とふりがながふってあったように思うのですが自信がありません)
本来は「コ」です。
日本語読みでは「みづうみ」です。
俳句では「うみ」とも。

 
p12朝経に鳥影走る冬座敷 「朝経」が読めません。
「あさぎょう」朝のお勤めです。

p23海峡へ炎えつ消え行く鰯雲 「炎えつ」が読めません。
「も・えつ」

p25春の闇うかがふ眼伎楽面 「眼」が読めません。
このばあいは「まなこ」です。
<広辞苑に出ていました。失礼しました。>

p38護謨疣の付きたる軍手梅雨寒し 「護謨」が読めません。
「ゴム・いぼ」です。
<広辞苑に出ていました。失礼しました。>

その2:中七が字足らずのようですが?読み方が違うのでしょうか?

p53自立とは永久の課題山笑ふ 「永久の課題」「とわのかだい」で6文字ですが。
「とはのくゎだい」と読みたいですね。
となると「とはのくゎだい・や」としたいですね。
わたしは「えいきゅうのかだい」と8音で読みました。


p102納骨の読経流る里の春 「読経流る」「どきょうながる」で6文字ですが。
これは「読経の流る」あるいは「読経流るる」でありたいですね。


その3:破調の句だと思うのですがあっていますか?

p16灯る火の色魂の色震災忌 ともるひのいろ・たましいのいろ・しんさいき (7・7・5)
定型でしょう「ともるひの・いろ、たまのいろ・しんさいき」

p45宿生木青し四肢太々と立つ仔馬 やどりぎあおし・ししふとぶとと・たつこうま (7・7・5)
これは、775音ですね。

p55リハビリの子と海を見てゐる秋思かな りはびりのこと・うみをみている・しゅうしかな (7・7・5)
これも775音ですね。

p78海猫百羽春光返す日本海 うみねこひゃくわ・しゅんこうかえす・にほんかい (7・7・5)
定型です。「ごめ、ひゃくわ」で5音です。


その4:仮名遣い、書き方の違いについて調べた結果を右側に記入しましたがあっているでしょうか?

p13.p33バレンタイン→バレンタインデー=「デーday」はあってもなくてもいいでしょう。「デーday」がある方が正確でしょうが。

p16だぁれも→だあれも=「誰も」が正しいでしょうが、「だぁれも」も許されるでしょう。

p23病ひ→病=「ひ」とわざわざ送り仮名をつけるのは動詞にしたいときだけですね。

p25娶し→娶りし=動詞ですから「娶りし」が本来の書き方です。

p34はしゃぐ→はしやぐ=促音も大きく書くの原則ですが、現代表記では許容されるでしょう。

p36被って→被つて=上に同じ

p43恋ひし→恋し=本来は「恋ふ」ですから「恋ひし」で活用するのでかまいません。

p48みづうみ→みずうみ=「水」はほんらい「みづ」ですから正しいですね。

p61くしゃみ→くしやみ=上に同じ

p62ゆっくりと→ゆつくりと=上に同じ

p65涅槃西→涅槃西風=「西風」が正しいですね。でも「西」だけでもいいでしょう。

p70おしゃべり→おしやべり=上に同じ

p80塗り替え→塗り替へ=これは指摘が正しいですね。

p83すれ違う→すれ違ふ=これは指摘が正しいですね。

p89覆いて→覆ひて=これは指摘が正しいですね。

p91添わす→添はす=これは指摘が正しいですね。

p98ほほえみ→ほほゑみ=これは指摘が正しいですね。


その5:季語がわかりませんでした。無季語になるのでしょうか?

p12エプロンに阪神震災ペンキ痕=「阪神震災・冬」1月17日と分かります。

p24厄神祭湯釜の飛沫にあがる声=「厄神祭・新年」

p32「暑」の年を光りで送るルミナリエ=「ルミナリエ・冬」阪神淡路大震災

p41終の旅へ老ひ母と行く牡蠣の浦=地名「牡蠣の浦(鳥羽市)」だと無季:「牡蠣」は「冬」

p90憧れし礼文花畑ウォークング=「花畑・夏」正しくは「お花畑」

p99火の粉舞う漆黒の宇宙二月堂=これは「火の粉舞う二月堂」で「お水とり・春」と明確。

p100いつの間に稲苗一尺風渡る=「稲苗一尺・夏」


追加:「みづうみ」と「みづ」についてですが広辞苑では「みずうみ」「みず」になっていました。「づ」は古語なのでしょうか?お教え下さい。

「湖」は広辞苑でも「ミズ・・」となっていますね。
「水」の古語は「ミヅ」です。

すでにご存じと思いますが、広辞苑には
みず・うみ[湖] ミヅ・・

この形で出ています。カタカナ部分が古文です。
したがって「ミヅ」が正しいのですね。