ネット句会

管理者・北側松太

2012年4月〜2016年2月・全141句

俳号・やちよ→ヤチ代

番号 年月 選句 季語 季節 添削句
1 2012年4月
41名
0 目借時一時停止のDVD

目借時
2 0 改札に香る事務所のヒヤシンス

ヒヤシンス
3 0 合格の顔写真載る塾チラシ

合格
4 2012年5月
43名
3 釣竿の糸を解く指長閑なり

長閑
5 1 料峭や孫を抱きしめたくなりぬ

料峭 寒いから孫の体温が恋しい、というのでは理屈。
句に因果関係を持ち込まない。
6 3 狛犬の開いたる口に飛花落花

飛花落花 「開いたる」が不要。もっとすっきり。
狛犬の口に吹き込む桜かな
7 2012年6月
45名
3 夏めくやピアスの為の髪形に

夏めく
8 2 呆気なく金魚掬ひのポイ破れ

金魚掬ひ
9 1 ジョギングの靴発光す五月闇

五月闇
10 2012年7月
47名
1 新緑の寺に張り紙座禅会

新緑
11 0 心太啜り土産の串団子

心太
12 1 ハンカチをベンチに広ぐ老紳士

ハンカチ
13 2012年8月
47名
7 汗拭ふ仕草母似の三姉妹

今回のトップはやちよさんの「汗」の句、7点でした。
14 1 追ふ子等の左右に飛散る雨蛙

雨蛙
15 1 出す舌の色取り取りにかき氷

かき氷 先月の紅椿さんの発想によく似ています。
みんなして舌を見せ合ふ氷旗 ・紅椿さん
ちょっと気持ち悪い句。
16 2012年9月
44名
3 秋空へゴトンと揺れる観覧車

秋空 やや当たり前、もう一工夫ほしいところです。
秋空をごとりと揺らし観覧車
秋空をごとりと鳴らし観覧車
17 0 赤蜻蛉カーアンテナと知りてゐる

赤蜻蛉
18 1 数独の数字飛交ふ秋の夜

秋の夜
19 2012年10月
46名
1 夫と子の相撲の写真セピア色

相撲
20 1 甘藷掘りし子の長靴に蔓の屑

甘藷掘り 推敲すればもっとすっきりするはずです。
藷を掘る長靴に蔓からませて
「子」も「屑」もごちゃごちゃするだけ。
「子」を捨てられないのなら
藷掘る子長靴に蔓からませて
「藷(いも)」はさつまいものことです。
21 3 秋空を一回転の逆上がり

秋空

「秋空へ」ではなく「秋空を」としたのは工夫です。
いいですね。「一回転や」と切れを入れたい。
秋空を一回転や逆上がり

22 2012年11月
44名
1 子等はしやぐすなわちそれも鳥威し

鳥威し
23 2 逆撫での言葉刺さりてゑのこ草

ゑのこ草 暗すぎます。少し明るさを。
逆撫での言葉を丸めてきな粉餅
24 1 しなやかに艶めき揺れる花芒

花芒 「しなやかに揺れる芒」か「艶やかに揺れる芒」か焦点を絞る。
艶やかに光を返す芒かな
25 2012年12月
43名
0 冬薔薇と聞く言い訳の白々し

冬薔薇 「聞く」が不要です。内容が暗いので、もう少し前向きな句を。
言訳の白々しくて冬薔薇
26 2 連日のネットサーフィン冬籠 冬籠

面白いのですが「連日の」が効いていません。
かにかくにネットサーフィン冬籠
あれこれとネットサーフィン冬籠

27 0 転ぶなど頭に無きやスケーター

スケーター
28 2013年1月
43名
3 熱燗や益子嫌いの九谷好き

熱燗
29 1 見上ぐればダンススタジオ冬銀河

冬銀河
30 0 古日記小遣ひ帳となりにけり

古日記

「なりにけり」が重い感じです。
結局は小遣ひ帳や古日記

31 2013年2月
48名
144句
1 蒲団からウルトラマンとサザエさん

蒲団
32 0 大寒の指触合へば静電気

大寒 「大寒や」と切りましょう。
 大寒や指ふれあへば静電気
 寒風や指ふれあうて静電気
 水仙や指に走れる静電気
33 3 何もかも聞えてをりぬ耳袋

耳袋 風生の「なにもかも知つてをるなり竈猫」が思い浮かびます。
少し直接的すぎます。
何もかも聞えてをりぬ負真綿
34 2013年3月
43名
129句
3 特急の通過待ちする日永かな

日永 何が「通過待ち」をしているのか、それが気にかかります。
35 2 春愁や描く眉毛の歪なる

春愁 「歪なる」が言いすぎ。
 眉墨を使ふも春の愁ひかな
 眉墨を使ふも春の愁ひにて
36 5 春の月崩して浸かる露天風呂

春の月

「崩して」で気分が殺がれます。
「揺らして」ぐらい。
春の月揺らして入りぬ露天風呂

37 2013年4月
45名
135句
3 彫り物の三猿を抜け風光る

風光る
38 0 山笑ふ坂の名前は女坂

山笑う
39 0 囀りや夫と揃ひのスニーカー

囀り
40 2013年5月
44名
132句
5 目借時候文の長台詞

目借時
41 1 看護師の御国訛りや花菜漬

花菜漬
42 0 春燈やどんと投出す長き足

春燈 「春燈」が見当違いな季語。
「投げ出す足」が見えるような季語を。
たかむしろどんと投出す長き足
43 2013年6月
44名
132句
4 サングラス掛けて溶込む異国かな

サングラス
44 0 青葉風甘味処の長暖簾

青葉風
45 2 繋ぐ手を握り直して木下闇

木下闇

「木下闇」という季語が怪しい雰囲気をかもし出します。誰の手か?
夫の手を握り直して木下闇

46 2013年7月
42名
126句
0 徐に断りを入れ昼寝せり

昼寝
47 3 自転車のカゴに忘れし夏帽子

夏帽子
48 0 梅雨晴間ティッシュ配りの現れり

梅雨晴間
49 2013年8月
41名
123句
1 ゆらゆらと重石の沈む水中花

水中か
50 3 塗装屋の来ている匂ひ大暑かな

大暑 「匂ひ」が言い過ぎです。
「いる」→「ゐる」
塗装屋が屋根踏み歩く大暑かな
51 0 ファミレスのグラスに満たすソーダ水

ソーダ水 当たり前。
もう少し詠むということに執念を。
ときめきをグラスに満たしソーダ水
52 2013年9月
41名
123句
1 玉蜀黍畑はや子の背丈抜く

玉蜀黍畑
53 3 銭湯のコーヒー牛乳秋の暮

秋の暮 雰囲気がありますが、もう少し動きを感じさせる季語を。
銭湯のコーヒー牛乳涼新た
54 1 絵手紙に檸檬の滲み一滴

檸檬
55 2013年10月
37名
111句
4 鰯雲エス字に進むちんどん屋

鰯雲 「エス字に進む」が細かすぎます。
鰯雲うねりうねりてちんどん屋
56 3 特別な日に非ずとも新酒酌む

新酒

「酌む」は不要。
特別な日にはあらねど新走り

57 2 欠席の葉書投函九月尽

九月尽

「欠席」などというから、何の欠席なのか、ということになります。
余計なことは言わないほうがいい。
クラス会のはがき投函九月尽

58 2013年11月
42名
126句
4 菊膾蕎麦屋の隅の独り酒

菊膾 季語がよくない。
秋風や蕎麦屋の隅の独り酒
59 2 種採りて大きく赤と記す袋

種採り 「袋」要らない。
 種採りて大きく赤と記しけり
60 0 カフェアート崩して秋を惜しむかな

秋惜しむ
61 2013年12月
42名
126句
1 枯葎ゴルフのボールらしきもの

枯葎

いただいた一句。
「枯葎」の感じがよく出ています。
何よりもいいのは句に発見があること。
「枯草に」でもいいのかもしれません。
字足らずになっても「の」はとる。
枯草にゴルフボールらしきもの
枯草にゴルフボールのやうなもの

62 5 母の爪孫の爪切る小春の日

小春

「母の爪」だけでいい。下五は「小六月」か「小春かな」
縁側で母の爪切る小六月

63 1 喧嘩して別皿に盛る煮大根

煮大根 「別皿」がちょっとというところ。
喧嘩して皿別々に鰤大根
64 2014年1月
41名
123句
1 味噌を濃く溶いて我家の根深汁

根深汁 なんか当たり前で面白くない。
根深汁秘伝の味噌を濃く溶いて
65 0 雪礫目標それて消えにけり

雪礫 「消えにけり」が言いすぎです。
目標をはっきり指摘しないと面白くない。
憎らしきひとを逸れてや雪礫
66 2 冬ざるるパンクのままの一輪車

冬ざるる
67 2014年2月
44名
132句
0 仮初めの窓越しに見る冬の月

冬の月 「窓越し」の「越し」が無意味。
仮初めの窓に見ゆるや冬の月
「仮初めの窓」が分かったようでよく分からない。
68 3 達筆の銘柄並ぶ寒造

寒造 「達筆の銘柄」では舌足らず。
「達筆で書かれたラベル」。
言葉が収まりきらないなら捨てたほが無難です。
69 0 絵襖を出で来役者に声掛かる

絵襖
70 2014年3月
48名
144句
1 思ひ出し笑ひ聞出す春の昼

春の昼 ごちゃごちゃ。
ふと思ひ出しては笑ふ春の昼
71 4 長靴を逆さに干して土筆和

土筆和
72 1 教会の賛美歌聞こゆ朝寝かな

朝寝 「教会」不要。字余りになっても
「聞こゆる」と連体形にするのが形。
子どもらの賛美歌聞こゆる朝寝かな
73 2014年4月
51名
153句
3 住職も一枚羽織る彼岸かな

彼岸  「住職の」か?
74 1 鳥雲に敬礼の如手を翳す

鳥雲に 何で手をかざすのか?まぶしいからでしょうか。
不確さが致命的。
75 0 胡瓜蒔く孫の小指を付し跡

胡瓜蒔く
76 2014年5月
47名
141句
0 蒲公英にナショナリティ等尋ねをり

蒲公英
77 3 蘆の角子象の臍を撫でにけり

蘆の角
78 0 持たされて背を縮めをり春日傘

春日傘
79 2014年6月
50名
150句
2 部活の子蛇口に群れて髪洗ふ

髪洗う
80 0 ビール酌むまずはグラスの泡称ふ

ビール
81 1 独り旅バックパックに入る守宮

守宮
82 2014年7月
48名
144句
0 紫陽花の似合ふところに寺有りき

紫陽花 「似合ふところ」が観念的。
紫陽花に埋もれて座禅堂有りき
紫陽花にしつとり埋もれ東慶寺
83 3 蟇思考巡らす半目かな

84 1 筆算のプリント仕上げさくらんぼ

さくらんぼ
85 2014年8月
50名
150句
1 日雷老犬と天仰ぎ見る

日雷 報告の域を出ていません。
読んだ人は「ああそうですか」で終わってしまいます。
感動のありようを示さないと。
86 0 風鈴の調べ乱るる強き風

風鈴

「強き」では因果関係を強調しているだけ。
風鈴の調べ乱るる夜風かな

87 2 緑蔭に仄かな匂ひありにけり

緑蔭
88 2014年9月
54名
162句
1 眉を引く手元が狂ふ残暑かな

残暑 「手元の狂ふ」でしょうか。
89 1 一時間に一本のバスねこじやらし

ねこじゃらし 「一時間に一本のバス」、
よく見かけるフレーズです。
90 2 一輪車回る色なき風の中

色なき風
91 2014年10月
51名
153句
2 柿をもぐ夫の掛け声下で受く

92 0 新涼や磨き上ぐるるハイヒール

新涼 「新涼」の感じがありません。
「上ぐるハイヒール」が正しい形、
字数を合わせるなら「磨き上げたるハイヒール」
93 0 秋草に縄跳びとぐろ如き在り

秋草 「如き在り」がうるさい。
縄跳びの縄がとぐろに秋の草
94 2014年11月
57名
171句
1 新松子エコー写真は男の子とや

新松子
95 2 温め酒厨賑す嫁姑

温め酒
96 1 宅配のダッシュボードに青蜜柑

青蜜柑
97 2014年12月
60名
180句
1 繕ひておさがりとなるジャケツかな

ジャケツ  「コート」がいい。
98 3 泥葱の一束を買ふ夫の役

泥葱 「夫の役」と説明せずに、現在進行形で詠みたいところです。
 一束の泥葱提げて夫が来る
99 0 探梅や昔の駅舎そのままに

探梅 しっかりした一句ですが、面白くない。
「昔の駅舎そのままに」が説明の域を出てないからでしょうか。
この駅舎五十年ぶり梅探る
100 2015年1月
59名
177句
0 煤払額縁の裏てふ穴場

煤払 発想の三段跳びというところ、ちょっと乱暴です。
101 4 数へ日のハンドクリーム絞り出す

数へ日
102 0 朝ぼらけ磨りガラス如冬の月

冬の月 「磨りガラスの如」と「の」が入らないとおかしな感じ。
冬の月曇りガラスのごとくあり
でいいのでは。
103 2015年2月
66名
198句
2 犬小屋の犬見当たらず日脚伸ぶ

日脚伸ぶ
104 2 小春日の追分だんご頬張りぬ

小春日 生活感のある季語を。
着ぶくれて追分だんご頬張りぬ
105 0 冬深むフランスパンとポトフ鍋

冬深む
106 2015年3月
62名
186句
2 コンデンスミルクをどうぞ春苺

春苺 「のつて」でいいでしょうか。
コンデンスミルクがのつて春苺
107 0 二月尽ネイル落しの香に咽る

二月尽
108 0 三月の机新旧子供部屋

三月
109 2015年4月
72名
216句
2 音させてアスパラガスの茎を折る 

アスパラガス いい題材ですが、ちょっと間延び。
茎折つてアスパラガスを響かする
110 4 木の芽和螺鈿の箸の並びをり

木の芽和 しっかりした一句。
「木の芽和」と食べ物を選びましたが、ちょっと付き過ぎ。
葵祭こどもの箸を並べけり  長谷川櫂
参考にしてください。
111 0 クレソンの定位置の有りディナー皿

クレソン
112 2015年5月
63名
189句
0 汐干潟すぐ消ゆ犬の足の跡

汐干潟 語順を変えて
汐干潟犬の足跡すぐ消ゆる
113 0 鳥曇下駄の鼻緒のきつかりし

鳥曇 季語がちぐはぐな感じ。
「浴衣着て」くらいでいいのでは。
114 0 初めての一歩可愛いや春の土

春の土 「赤子」が必要。「可愛いや」は不要。
 初めての赤子の一歩桃の花
 あかんぼにこの世の一歩初燕

 いろいろ工夫できそうです。
115 2015年6月
71名
231句
6 子のやうになりたる母の髪洗ふ

髪洗う 高点句でした。
「子のやうになりたる母」に尊敬の念が伺えません。
「なりたる」が突き放した感じ。
尊敬の形は「なられし」でしょうか。
「なりたまふ」でもいい。
子のやうになられし母の髪洗ふ
116 0 羅を翻しつつホテルの夜

怪しい「ホテルの夜」です。
117 1 老ゆ事を笑ひ飛ばして粽結ふ

粽結う 「老ゆる」と連体形にしたほうが自然、
老ゆる事笑ひ飛ばして粽結ふ
118 2015年7月
67名
201句
2 正座して丸し嫗の昼寝かな

昼寝 「正座」がちょっと堅苦しい。
119 0 真夜中の逢瀬のベール撒水車

撒水車
120 1 湯上りの子を抱きかかふ夕涼み

夕涼み
121 2015年8月
71名
213句
3 日盛の飴切の音甲高く

日盛 しっかりした一句ですが、「甲高い」は人間や動物の声を修飾する言葉。
オノマトペを駆使して、
飴切のととんとんとん日の盛り
飴切のととんとんとん水の秋
122 3 蜜豆やまだ物欲の在りしころ

蜜豆 「在りしころ」がどうなのか。「在りしころに」に働く季語を。
鱧食うてまだ物欲の在りしころ
白地着てまだ物欲の在りしころ
123 0 ビル風とビルの日除の下を行く

日除 「ビル風」で焦点ぼけ。
三越のビルの日除の下を行く
犬連れてビルの日除の下を行く
箒売りビルの日除の下を行く
124 2015年9月
67名
201句
0 赤ワイン白ワイン空く夜長の灯

夜長 切字が使えるのだから使わない手はありません。
赤ワイン白ワイン空く夜長かな
125 1 菊枕裁縫箱の屑香る

菊枕 「裁縫箱」が俳句をわかりにくくしているようです。
掃きだして屑も香るや菊枕
126 0 鼻声の気象予報士そぞろ寒

そぞろ寒
127 2015年10月
72名
216句
1 日程の急に決りし秋遍路

秋遍路 「日程の急に決りし」が硬い。
あたふたと日程決めて秋遍路
128 0 満月の奇しき色合ひ目に優し

満月 目に優し」は丁寧に言い過ぎ。
あやしげな色合ひに出て今日の月
129 0 九月尽誕生月を堪能す

九月尽
130 2015年11月
82名
246句
0 秋晴や烏帽子光るる地鎮祭

秋晴 「光るる」は誤用、「光れる」。
あるいは「烏帽子の光る地鎮祭」。
131 2 飴切りの音軽やかに爽やかに

爽やか 「軽やかに」がしつこい感じです。
お大師の飴切りの音爽やかに
132 1 実椿やお尻に小さき蒙古斑

実椿
133 2015年12月
82名
246句
9 寒鯉のぬらりと水を動かしぬ

寒鯉 「ぐらり」が普通ですが、ちょっと趣向を変えたのか。
「ぬらり」はぬるぬるしているさま。
134 1 暖炉の火揺らぎて眠り誘はるる

暖炉 形よく収まった俳句ですが、もう一歩。
「暖炉の火揺らぎて」と季語を説明しないことが大切です。
季語は単独でぽつんと置くのが効果的。
うとうとと椅子ゆらゆらと暖炉の火
135 2 角巻の板に付きたる妻となり

角巻
136 2016年1月
79名
237句
2 転寝の祖父母を起し晦日蕎麦

晦日蕎麦 未来・意志の句に、
転寝の祖父母起さん晦日蕎麦
137 0 湯上りの五個でも足りぬ蜜柑かな

蜜柑
138 1 煤逃と言はせないぞと孫を守り

煤逃
139 2016年2月
77名
231句
3 春隣やたら絵文字のメール受く

春隣
140 5 冬空に足突き上ぐる逆上がり

冬空 「足突き上げて」がすっきりします。
141 2 雪掻の二日後に出る痛みかな

雪掻 やや常識。