草の花ネット句会

選者・名和未知男および幹部

入選句(兼題) ★1句 講評あり ◎2句 講評あり ○2句
入選句(自由題) ★1句 講評あり ◎2句 講評あり ○4句

2013年12月〜2016年1月

全78句★1句◎4句○5句

俳号・ヤチヨ→ヤチ代

番号 句会 互選 評価 季語 季節
78 2016年1月 1 腹筋を鍛へ始むる春隣

ふっきんをきたえはじむるはるどなり
春隣
77 0 冬凪や泣いた子のもう眠さうに

冬凪
76 1 探梅やたんきり飴の配られて

探梅
75 2015年12月 0 賄ひの手隙の順に晦日蕎麦

晦日蕎麦
74 6 聞き上手丁寧に剥く蜜柑かな

蜜柑
73 0 障子閉め昼寝の孫を囲ひ見る 

障子
72 2015年11月 0 ゆらゆらとラッコ揺らるる御講凪

御講凪
71 1 セーターの胸の象さん目は釦

セーター
70 5 父方は無口揃ひや石蕗の花

ちちかたはむくちぞろいやつわのはな
石蕗の花
石蕗の花って、一見、華やいでいるように見えますが、改めて良く見みると、どちらかと言えば、むしろ寡黙な部類に属するように思えます。
輝いているようで、どこか沈んで見える。
やはり冬の花なのでしょう。
上五中七のフレーズが少しも違和感を覚えないのはそのせいかも知れません。
鋭い感覚をお持ちだと感心しました。
69 2015年10月 1 夕日浴ぶ眩しきまでの芒かな

68 0 病院の行事のひとつハロウィン

ハロウィン
67 1 耳少し遠くなりをり吾亦紅

吾亦紅
66 2015年9月 0 早過ぎて誕生月の九月尽

九月尽
65 1 廻り来てやをら眺むる月今宵

月今宵
64 0 稲妻やキャンドルの香の漂へり

稲妻
63 2015年8月 0 今吹いた風は何色秋の色

秋の色
62 0 長き夜の細きマドラーハイボール

長き夜
61 3 残暑とて眉毛きりりと描きけり

さんしょとてまゆげきりりとえがきけり
残暑
こちらは「残暑とて」。
作者の残暑に立ち向かう強い意志が「とて」で巧く表現されました。
その意志の具体的な行為が「眉毛きりりと描きけり」。
句末の「けり」で決まりましたね。
60 2015年7月 0 ペコちゃんの衣装色褪せ日の盛

日の盛
59 0 メロン出て大団円となりにけり

メロン
58 0 短夜や母乳良く出て良く眠る

短夜
57 2015年6月 0 成長を見るため逃がす毛虫かな

毛虫
56 0 花菖蒲嫁入り舟に手を振りぬ

花菖蒲
55 1 庭の物生りて数個の袋掛

袋掛
54 2015年5月 4 夏芝居特等席の水しぶき

なつしばいとくとうせきのみずしぶき
夏芝居
53 1 境内の由緒正しき鹿の子かな

鹿の子
52 1 幼子の早口言葉時鳥

時鳥
51 2015年4月 0 青柳や銀座に止まるツアーバス

あおやぎやぎんざにとまるつあーばす
青柳
50 1 鳥雲に入りて斜めに減る箒

とりくもにいりてななめにへるほうき
鳥雲に入る
49 4 おはじきを花器に敷詰め夏近し

おはじきをかきにしきつめなつちかし
夏近し
確かにおはじきを底に敷き詰めた花器を目にしたことがあります。
爽やかさを演出する為なのでしょうか。
あるいは作者は夏が近づくと、楽しんでそのようなことをしているのかもしれませんね。
ただし「夏近し」は少し付き過ぎかもしれません。
さらに検討されることを願います。
48 2015年3月 1 逆立ちの指皆笑ふ木の芽時

さかだちのゆびみなわらうこのめどき
木の芽時
47 0 朝顔の三種の色の種を蒔く

あさがおのさんしゅのいろのたねをまく
花種蒔く
46 0 西側のカフェカーテンを遅日光

にしがわのかふぇかーてんをちじつこう
遅日
45 2015年2月 0 買換へるバックパックや春めきて

かえかえるばっくぱっくやはるめきて
春めきて
44 0 誕生日一番好きな春苺

たんじょうびいちばんすきなはるいちご
春苺
43 2 冴返る軋む門扉の高き音

さえかえるきしむもんぴのたかきおと
冴返る
42 2015年1月 3 負けて尚もう一局や日脚伸ぶ

まけてなおもういっきょくやひあしのぶ
日脚ぶ
41 0 声落し静かに豆を撒きにけり

こえおとししずかにまめをまきにけり
豆撒き
40 1 寒月に火照る肩先晒しをり

かんげつにほてるかたさきさらしおり
寒月
39 2014年12月 1 牡丹鍋螺鈿の箸の並びをり

ぼたんなべらでんのはしのならびおり
牡丹鍋
38 1 造り手のシール貼らるる冬菜かな

つくりてのしーるはらるるふゆなかな
冬菜
37 2 風呂吹きに竹串の穴ありにけり 

訂正
風呂吹に竹串の穴ありにけり

ふろふきにたけぐしのあなありにけり
風呂吹
当たり前といえば当たり前かもしれませんが、大ざっぱに表面だけを見ていたり、想像句では、
この竹串の穴に目を留めることはありません。
ここまで観察されると、読み手にも、旨そうに煮えた風呂吹がありありと浮かんできます。
下五の「ありにけり」も良いですね。
36 2014年11月 1 自転車の前後に子乗せ暮早し

じてんしゃのぜんごにこのせくれはやし
暮早し
35 0 ボジョレヌーボー仏蘭西は今何時

ぼじょれぬーぼーふらんすはいまなんじ
ボジョレヌーボー
34 0 冬紅葉あんな所に三猿が

ふゆもみじあんなところにさんざるが
冬紅葉
33 2014年10月 1 飛行機雲じつと眺めつ秋惜しむ

ひこおきぐもじっとながめつあきおしむ
秋惜しむ
32 3 朝寒や少し焦げたるパンケーキ

あさざむやすこしこげたるぱんけーき
朝寒
31 1 十三夜ギターの弦の鉄臭き

じゅうさんやぎたーのげんのてつくさき
十三夜
30 2014年9月 0 シャッターの重なる区画秋の園

しゃったーのかさなるくかくあきのその
秋の園
29 0 香りある草に隠れし思ひ草

かおりあるくさにかくれしおもいぐさ
思い草
28 4 絵手紙を添へて新米届きけり

えてがみをそえてしんまいとどきけり
新米
27 2014年8月 0 秋暑し裁縫箱に貝ボタン

秋暑し
26 1 秋淋し微熱の母の爪を切る

秋淋し
25 2 朝顔のつる絡まずに揺れてをり

朝顔
24 2014年7月 2 日盛の火傷しさうな滑り台

日盛
23 1 夏暖簾ゆの字左右に切られをり

夏暖簾
22 0 青田青し研修生の肌黒し

青田
21 2014年6月 0 雨どいを溢れさすよな夕立かな

夕立
20 1 二人してあつと言ふ間の袋掛

袋掛
19 0 風薫る黄身の崩れし目玉焼き

風薫
18 2014年5月 0 家々のあの時植ゑし木香茨

木香茨
17 1 母の日を祝はれ祝ふ母の亡き

母の日
16 3 桐の花女子も大志を抱きたし

桐の花
15 2014年4月 1 寝仏の手枕痺れ夕長し

夕長し
14 0 蘆の角青臭さてふ佇まひ

蘆の角
13 1 桜蘂花よりも濃く降りにけり

桜蘂降る
12 2014年3月 1 春の夢覚めて言ひたき人探す

春の夢
11 0 ネーブルを剥くスピーカーホンのまま

ネーブル
10 0 鳥雲に入る靴紐を締め直す

鳥雲に入る
9 2014年2月 1 背の高き人に預けし春日傘

春日傘
8 0 春園の園児泣く声笑ふ声

春園
7 1 東風吹くや髪を押へる手の白き

東風
6 2014年1月 0 スタンプを地図に集めて福詣

福詣 新年
5 0 買初に干支の根付の長財布

買初 新年
4 1 歌舞伎座のチケットを手に小正月

小正月 新年
3 2013年12月 1 菊作り思い起せし祖父の指

菊作り
2 3 行く秋や白紙の残る御朱印帳

行く秋
1 1 外つ国の娘に送る今年米

とつくにのむすめにおくることしまい
新米
母に送られる、子に送る、等々・・・、といった類想句がいくつかありました。
新米というものは、それほど日本人にとってかけがえのない存在なのでしょう。
送る者の気持ち、送られる者の気持ちが一つになります。
日本人としての至福の思いの象徴が「新米」なのかも知れませんね。