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案内役 蜂谷 一人

岸本 尚毅
きしもと なおき

題名 季語 季節
寺の猫
蜻蛉

蝉を喰ひ蜻蛉を喰うて寺の猫

せみをくいとんぼをくうててらのねこ
日向ぼこ 日向ぼこ 立つてゐる人を眺めて日向ぼこ

たっているひとをながめてひなたぼこ
地虫出づ 地虫出づ 沈む日は苔にあたたか地虫出づ

しずむひはこけにあたたかじむしいづ
梅若忌
梅若忌

夢に見し如くに春や梅若忌

ゆめにみしごとくにはるやうめわかき
うたげの如し

浮かれ蜂うたげの如し腐れ梨

うかればちうたげのごとしくされなし
何かの如く 冬の雲 冬の雲何かの如く浮びをり

ふゆのくもなにかのごとくうかびおり
なめくぢ なめくじ
梅雨菌

なめくぢに添ふなめくぢや梅雨菌

なめくじにそうなめくじやつゆきのこ
風は歌  墓洗ふ 風は歌雲は友なる墓洗ふ

かぜはうたくもはともなるはかあらう
牛乳屋 風鈴 風鈴の下に老人牛乳屋

ふうりんのしたにろうじんぎゅうにゅうや
今いくよ 風鈴 風鈴やいまは仏の今いくよ

ふうりんやいまはほとけのいまいくよ
室生犀星俳句集 岩波文庫 岸本尚毅編