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案内役 蜂谷 一人

井上 泰至
いのうえ やすし

(日本文学研究者

題名 季語 季節
1 安易な「かな」を避ける方法(芭蕉) 新年 よく見れば薺花咲く垣根かな

よくみればなずなはなさくかきねかな
2 「や」の本質を知る (蕪村) 菜の花 菜の花や月は東に日は西に

なのはなやつきはひがしにひはにしに
3 一句の切れの強弱(芭蕉) 古池や蛙飛込む水の音

ふるいけやかわずとびこむみずのおと
4 「や」「けり」は使いよう(中村草田男) 降る雪や明治は遠くなりにけり

ふるゆきやめいじはとおくなりにけり
5 「の」のリフレインの凄み(高浜虚子) 遅日 この庭の遅日の石のいつまでも

このにわのちじつのいしのいつまでも
6 散文化しない「て」(芭蕉) 鵜船 面白てやがてかなしき鵜船かな

おもしろうてやがてかなしきうぶねかな
7 「に」の魔術師(蕪村) 春の夜 春の夜や宵あけぼのの其中に

はるのよやよいあけぼののそのなかに
8 「は」から現代俳句は始まる(日野草城) 春の灯 枕辺の春の灯は妻が消しぬ

まくらべのはるのともしはめがけしぬ
9 「も」は並列た゛けし゛ゃない(高浜虚子) 咲き満ちてこぼるる花もなかりけり

さきみちてこぼるるはなもまかりけり
10 「たり」か「なり」か迷ったら(高浜虚子・星野立子) 鴨の中の一つの鴨を見てゐたり

かものなかのひちつのかもをみていたり
炎天 旅なればこの炎天も歩くなり

たびななればこのえんてんもあるくなり