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案内役 蜂谷 一人

堀本 裕樹
ほりもと ゆうき

題名 季語 季節
夏蝶 夏蝶 夏蝶の口くくくくと蜜に震ふ

なつちょうのくちくくくくとみつにふるう
冬蜂 冬蜂 冬蜂の事切れてすぐ吹かれけり

ふゆばちのこときれてすぐふかれけり
健次忌 健次忌 健次忌の海暮るるまで泳ぎけり

けんじきのうみくるるまでおよげきり
霧越えて霧乗り出してくる霧は

きりこえてきりのりだしてくるきりは
鳥渡る 鳥渡る 蒼海の一粟の上や鳥渡る

そうかいのいちぞくのうえやとりわたる
夏の月 夏の月 東京にまぼろし多し夏の月

とうきょうにまぼろしおおしなつのつき
山滴る 山滴る 青緑蒼翠碧山滴る

あおみどりあおみどろあおやましたたる
夕立 夕立 夕立来るおとやほどなく音のなか

ゆだちくるおとやほどなくおとのなか
飛花落花 飛花落花

飛花落花抜け来る蝶の花に触れず

ひからっかぬけくるちょうのはなにふれず
春コート 春コート 春コートかがやくものを追へば旅

はるこーとかがやくものをおえばたび
一栗(いちぞく) 第一句集より十年の歳月をへて 刊行された第二句集「一粟」
書名である「一粟」は「蒼海の一粟」という成句より得た