HAIKU日本

2016年6月~2022年3月

投句料・3句1組1000円

俳号・村上ヤチ代

番号 日付 評価 俳句 季語 季節
25 2022年3月31日 佳作 問はれても生返事して蜜柑剥く

とわれてもなまへんじしてみかんむく
24 2021年12月31日 秀逸句 俎板を覆ふ如くに柚子香る

まないたをおおうごとくにゆずかおる
柚子
(評)
香りと酸味が料理をひときわ引き立ててくれる「柚子」。
そんな柚子が香り立つ台所を詠んだ一句。
「俎板を覆ふ如く」という比喩が生活詠の極みともいえる味を出しています。
切れば俄かに香りたち柑橘系のフレッシュさで満たされます。
柚子の芳香だけに焦点を絞り、簡略化して詠んだところが効果的な一句です。
柚子と共にどんな食材が食卓に並べられるのでしょうか。
23 2021年10月3日 佳作賞 鈍行の車窓を満たす五月富士

どんこうのしゃそうをみたすさつきふじ
五月富士
22 2021年7月4日 佳作賞 佐藤家を跨ぎ原家へ猫の恋

さとうけをまたぎはらけへねこのこい
猫の恋
21 2021年3月28日 佳作賞 水涸るる角の取れたる石数多

みずかるるかどのとれたるいしあまた
水涸る
20 2020年12月29日 佳作賞 参道を抜けて寄席行く菊日和

さんどうをぬけてよせゆくきくびより
菊日和
19 2020年9月27日 秀逸句 眩しきはかくも灼けたる滑り台

まぶしきはかくもやけたるうべりだい
灼ける
(評)
「灼けたる」が夏の季語で真夏の直射日光に晒されていることです。
最近は恐ろしい勢いで気象変動が起こり、気温は年々上昇しています。
公園の「滑り台」の斜面がピカピカに光っていて、昭和からの使い古された鉄製の滑り台を想像します。
灼熱の太陽の元で光を放つ滑り台は、作者のこれまでを象徴しているかのようでもあり、言い得て妙な境涯俳句としての魅力もあります。
18 2020年6月28日 佳作賞 練り菓子の鳥の姿や利休の忌

ねりがしのとりのすがたやりきゅうのき
利休の忌
17 2020年3月28日 佳作賞 鱈鍋や意見は常に食ひ違ひ

たらなべやいけんはつねにくいちがい
鱈鍋
16 2019年12月29日 佳作賞 相方の寝息聞きつつ夜なべかな

あいかたのねいきききつつよなべかな
夜なべ
15 2019年9月29日 佳作賞 幼稚園バスはももいろ田水沸く

ようちえんばすはももいろたみずわく
田水沸く
14 2019年6月30日 佳作賞 春昼の絡繰時計見上げをり

しゅんちゅうのからくりどけいみあげおり
春昼
13 2019年3月31日 佳作賞 冬帽子立食ひ蕎麦を啜りをり

ふゆぼうしたちぐいそばをすすりおり
冬帽子
12 2018年12月30日 佳作賞 革張りの光る長椅子そぞろ寒

かわばりのひかるながいすそぞろざむ
そぞろ寒
11 2018年9月30日 佳作賞 炎昼や無言で並ぶラーメン屋

えんちゅうやむごんでならぶらーめんや
炎昼
10 2018年6月24日 佳作賞 万愚節己が生まれし時語る

ばんぐせつおのがうまれしときかたる
万愚節
9 2018年3月25日 佳作賞 八卦見の店仕舞ひして着ぶくれて

はっけみのみせじまいしてきぶくれて
着ぶくれ
8 2017年12月24日 秀逸句 重陽や昼は甘口酌み交はす

ちょうようやひりはあまくちのみかわす
重陽
(評)
重陽は、陰暦九月九日の節句。
ちょうど菊の盛りの頃で、この日に飲む酒が菊の酒と呼ばれます。
昼は甘口、夜は辛口と続くのでしょうか。
秋の昼、親しき人たちと酒を酌み交わす作者。
重陽に相応しい雅趣のある席であったことを、句が語っています。
7 2017年12月24日 佳作賞 朝寒の農家より買ふ卵かな

あさざむののうかよりかうたまごかな
朝寒
6 2017年9月24日 佳作賞 くちなはに驚く声に驚きぬ

くちなわにおどろくこえにおどろきぬ
くちなわ
5 2017年6月25日 佳作賞 矢印の先は駅舎の燕かな

やじるしのさきはえきしゃのつばめかな
4 2017年3月19日 佳作賞 磨かれし玻璃戸の清し初旭

みがかれしはりどのすがしはつあさひ
初旭 新年
3 2016年12月18日 佳作賞 外つ国の切手貼らるる夏見舞

とつくにのきってはらるるなつみまい
夏見舞
2 2016年9月18日 佳作賞 実石榴や開かずの扉のある館

みざくろやあかずのとびらのあるやかた
実石榴
1 2016年6月10日 佳作賞 百千鳥笑ひ転げて出る涙

ももちどりわらいころげてでるなみだ
百千鳥