ふらんす堂・なづな集→花実集

選者・石田郷子(158号まで・なづな集)
選者・高田正子(159号から・花実集)

ふらんす堂通信・2000円(1年4回)

2016年4月(148号)〜2022年7月(173号)

俳号・村上ヤチ代

発行日 評価 俳句(添削句) 季語 季節 原句orコメント
2022.7 173号 添削 定位置に化粧水置き冷蔵庫

ていいちにけしょうすいおきれいぞうこ
冷蔵庫 定位置の化粧水ある冷蔵庫

ていいちのけしょうすいあるれいぞうこ
添削 アイロンに折目正しき汗拭い

あいろんにおりめただしきあせぬぐい
汗拭い アイロンの折目正しき汗拭ひ

あいろんにおりめただしきあせぬぐい
2022.5 172号 特選
春の灯や玉三郎ののどぼとけ

はるのひやたまさぶろうののどぼとけ
春の灯 <春の灯や女はもたぬのどぼとけ 日野草城>の本歌(句)取りでしょう。坂東玉三郎は当世きっての女形っですが、いかに美しくても男性ですから「のどぼとけ」があります。柔らかな春の灯の陰影をのどもとに見届けた村上さん。思わずこぼれ出た一句だったのではないでしょうか。
添削 どうぶつの墓を見下ろす桜かな

どうぶつのはかをみおろすさくらかな
ペット等の墓を見下ろす桜かな

ぺっとらのはかをみおろすさくらかな
なし 息子には娘が二人桜餅

むすこにはむすねがふたりさくらもち
桜餅
なし 番台に水栽培のヒヤシンス

ばんだいにみずさいばいのひやしんす
ヒヤシンス
2022.2 171号 なし 湯たんぽを探る夜明けの足の指

ゆたんぽをさぐるよあけのあしのゆび
湯たんぽ
なし 景品の葉牡丹並ぶく籤引所

けいひんのはぼたんならぶふくびきじょ
葉牡丹
2021.11 170号 なし 落蝉の大往生の裏返し

おとぜみのだいおうじょうのうらがえし
落蝉
なし いつの間に仲直りして葡萄食ぶ

いちのまになかなおりしてぶどうたぶ
葡萄
なし 団欒を終へたるのちの虫時雨

だんらんをおえたるのちのせみしぐれ
虫時雨
2021.8 169号 なし 天道虫ナンバーワンの指の先

てんとうむしなんばーわんのゆびのさき
天道虫
なし 桐の花次女は長女の真似をして

きりのはなじじょはちょうじょのまねをして
桐の花
2021.5 168号 なし 広げれば半畳ほどの春ショール

ほろげればはんじょうほどのはるしょーる
春ショール
なし スリッパの左右さかさまヒヤシンス

すりっぱのさゆううさかさまひやしんす
ヒヤシンス
2021.2 167号 なし 雑炊をすする眼鏡は外すべし

ぞうすいをすするめがねははずすべし
雑炊
なし 自転車の空気満タン朝の火事

じてんしゃのくうきまんたんあさのかじ
火事
2020.11 166号 添削 ふっくらと二百十日の玉子焼

ふっくらとにひゃくとうかのたまごやき
二百十日 ふっくらと二百十日の玉子焼き

ふっくらとにひゃくとうかのたまごやき
なし お揃いのワンピースです小鳥来る

おそろいのわんぴーすですことりくる
小鳥来る
なし 十五夜の席は十席四家族

じゅうごやのせきはじゅっせきよんかぞく
十五夜
なし とんぼうの複眼の一つに私

とんぼうのふくがんのひとつにわたし
とんぼう
2020.8 165号 添削 逆上がり一瞬逆様の青葉

さかあがりいっしゅんさかさまのあおば
青葉 逆様の青葉一瞬逆上がり

さかさまのあおばいっしゅんさかあがり
なし 薔薇に棘わたくしに矯正下着

ばらにとげわたくしにきょうせいしたぎ
薔薇
なし 米艦の寄港ダーリンは白シャツ

べいかんのきこうだーりんはしろしゃつ
白シャツ
2020.5 164号 添削 春星を仰ぎて何を語らむや

はるぼしをあおぎてなにをかたらむや
春星 春星を仰ぎて何を語るなり

はるぼしをあおぎてなにをかたるなり
なし 掌に鉄の匂や半仙戯

てのひたにてつのにおいやはんせんぎ
半仙戯
なし 采女橋渡り銀座の柳かな

うねめばしわたりぎんざのやなぎかな
なし 花林檎赤毛のアンを読み返す

はなりんごあかげのあんをよみかえす
花林檎
2020.2 163号 なし 冬枯の野鳥園より響く声

ふゆかれのやちょうえんよりひびくこえ
冬枯
なし 社会鍋トランペットの高らかに

しゃかいなべとらんぺっとのたからかに
社会鍋
2019.10 162号 なし 老人の住む町となり水澄めり

ろうじんのすむまちとなりみずすめり
水済む
なし 天の川臨時列車の停車駅

あまのがわりんじれっしゃのていしゃえき
天の川
161号 投句なし
2019.4 160号 特選
黄の花でなけれなならぬフリージア

きのはなでなければならぬふりーじあ
フリージア この句も思い切った表現です。
黄色がポピュラーですが白や赤、紫などもあるようです。
が、やはり黄色でないとフリージアである気がしない、にも私も賛成。
もちろん反対意見があってもよいでしょう。
2019.2.2 159号 なし 朝練の発声清し息白し

あされんのはっせいきよしいきしろし
息白し
なし 枯野より浮き上がりたる熱気球

かれのよりうきあがりたるねつききゅう
枯野
なし 前掛けで磨かれてをる冬林檎

まえかけでみががれてをるふゆりんご
冬林檎
2018.10.31 158号 添削 産声を包む白布や曼殊沙華

うぶごえをつつむはくふやまんじゅしゃげ
曼殊沙華 曼殊沙華産声包む白布かな

まんじゅしゃげいぶごえつつむはくふかな
なし 隣との垣緩くして花茗荷

となりとのかかきゆるくしてはなみょうが
花茗荷
2018.7.31 157号 添削 父の日の神父も僧も父ならむ

ちちのひのしんぷもそうもちちならむ
父の日 父の日の神父も僧も父なれや

ちちのひのしんおうもそうもちちなれや
なし 小満の香を放ちたる草木かな

しょうまんのかをはなちたるくさきかな
小満
2018.4.30 156号 なし 天気図に桜前線現るる

てんきずにさくらぜんせんあらわるる
なし 早春のお稽古バッグにバイエル

そうしゅんのおけいこばっぐにぱいえる
早春
2018.1.31 155号 なし むささびの飛んで闇夜を動かしぬ

むささびのとんでやみよをうごかしぬ
むささび
なし 山茶花の垣根の際を散り敷きぬ

さざんかのかきねのきわをちりしきぬ
山茶花
2017.10.31 154号 なし ガラポンの列に並ぶや菊日和

がらぽんにれつにならぶやきくびより
菊日和
なし 新蕎麦や遅刻者の無き銀の鈴

しんそばやちこくしゃのなきぎんのすず
新蕎麦
2017.7.31 153号 なし 草取に雑草の名を教はりぬ

くさとりにざっそうのなをおそわりぬ
草取
なし 生足てふ素足なりけり眩しかり

なまあしというすあしなりけりまぶしかり
素足
2017.4.30 152号 なし クレープの香り漂ふ雛祭

くれーぷのかおりただようひなまつり
雛祭
なし 遮断機の撥ねてその先春の月

しゃだんきのはねてそのさきはるのつき
春の月
2017.1.31 151号 なし 砂に描く相合傘を浜千鳥

すなにかくあいあいがさをはまちどり
浜千鳥
なし 歌舞伎座の名物と言ふ鯛焼屋

かぶきざのめいぶつというたいやきや
鯛焼屋
2016.10.31 150号 なし 仏壇のほのと明るむ黄の小菊

ぶつだんのほのとあかるむきのこぎく
なし 蜩や未完成てふログハウス

ひぐらしやみかんせいというろぐはうす
2016.7.31 149号 なし 網戸より漉されし風の入りにけり

あみどよりこされしかぜのいりにけり
網戸
なし 活けられて窮屈さうな濃紫陽花

いけられてきゅうくつそうなこあじさい
濃紫陽花
2016.4.30 148号 添削 手伝はぬ夫が急かしぬ雛納め

てつだわぬつまがせかしぬひなおさめ
雛納め 手伝はぬ夫に急かさる雛納め

てつだわぬつまにせかさるひなおさめ
添削 磯遊び臀を濡らしてゐたりけり

いそあそびしりをぬらしていたりけり
磯遊び 磯遊び屈む臀部の少し濡れ

いそあそびかがむでんぶのすこしぬれ