2005年9月17日
朝食はレストラン<CAPE COLONY>でビュッフェスタイルであった。
私と夫はホテルの庭を散策してから<CAPE COLONY>に向かった。
<CAPE COLONY>は、昨日夕食をいただいた時とは全く違った雰囲気であった。
そこは、庭に面した広々とした窓から朝日が差し込み、高い天井の大きなホールは明るく、テーブルに着いている人がほとんどいないせいもあって、とても静かであった。
ちょうどYさんと一緒になり同じテーブルに着いた。
ボーイが飲物のオーダーをとり、メイドがトーストをテーブルに置いてくれた。
ビュッフェの食材は種類が多く、またそれぞれの量もたっぷり盛られて豪華に並んでいた。
もちろんお味はそれぞれとても美味しかった。
朝食を済ませロビーに集合すると<THOMPSONS TOURING>のケープタウン担当日本人ガイドFさんが待っていた。
ドライバーは現地のKさんで<ケープ半島の観光>に向かった。
専用車に乗るとFさんに
「今朝のテーブルマウンテンを見ましたか?」
と聞かれた。
「私達の部屋は海側に面していたので、反対側のテーブルマウンテンを見に行く時間がなかった」
と言うとFさんは残念そうに
「今朝のテーブルマウンテンは頂上に雲がかかって、ちょうどテーブルクロスを掛けたようにすばらしかった」
と言った。
それを聞いて
「見逃してしまって残念だった」
という言葉が思わず皆の口からこぼれたのであった。
<テーブルマウンテン>に上るロープウエイは、円形をしていて、中央を軸に床がゆっくり回転して、移動せずに360度のパノラマが眺められるようになっていた。
頂上は半分雲がかかっていたが、ケープタウンの方向は素晴らしい眺めだった。
![]() テーブルマウンテン |
![]() ケープタウン |
![]() ライオンズヘッド |
![]() ケープハイラックス |
![]() テーブルマウンテン |
しかしスケジュールの関係で、上ってきたロープウエイで下りなければならないため、頂上の滞在時間は約30分であった。
私達はあわただしく眼下に広がる大西洋を眺め、写真を撮り、深呼吸をして、床がゆっくり回転するロープウエイで頂上から戻った。
私は駐車場のそばのショップで<CAPE TOWN>の文字と風景が描かれたマグカップとロープウエイ形のキーチェーンを買った。
<テーブルマウンテン>の事前調査では、霧がかかっている時や悪天候の時は上れないと聞いていたので、頂上まで行けただけで満足しなければならないのに、もう少し時間があったらと悔やまれた。
私は後ろ髪を引かれる思いで<テーブルマウンテン>を後にした。
パールの<KWVワインセラー見学>は女性のガイドが付き、私達と他の見学者の10数人でツアーが開始された。
敷地内にはいくつもの倉庫のような建物が並んでいた。
直径2メートルはありそうな、彫刻が施された樽が整然と何列にも並んで置かれている建物。
地下に貯蔵庫があるため、マンホールのような蓋が並んでいる建物。
ワインだけでなくブランデーやウイスキーなどの樽の建物。
世界で一番大きくて古い樽の建物。
それらをまわって試飲ルームにたどり着き、6種類のワインを試飲してツアーは終了した。
KWVの試飲用ワイン(パール)
ワインショップで夫は6本のワインを買った。
事前調査で<KWVセラー>には、彫刻が施されている樽と世界最大の樽があるというので見学を希望した。
それぞれ見ごたえのあるものであった。
しかし私のワインセラー見学のイメージは、ワインの樽を見たり、葡萄畑に行って土の香りを嗅いだり、葡萄畑の見える所で食事をすることであったので、事前調査不足を反省した。
<KWVセラー>は近代化された大きなワイン工場であった。
ガイドのFさんは
「KWVは最近建物を立て直して近代化されたが、古い建物の趣のあった頃も良かった」
と言っていた。
昼食の場所はパールのメイン通りに面したレストラン<MaRc’s>だった。
私はここで初めて見た<キーウィ&グランベリージュース>をいただいた。
もちろんとても美味しかった。
そして、ボーイがメインのチキン料理にコショウをかけるパフォーマンスが素晴らしく、全員が順番にコショウをかけてもらった。
ここではケープ地方のデザートの話になり
「ドライフルーツを平らに伸ばしてロール状にしたものが美味しい」
とFさんが教えてくれた。
そういえば、ロボスレイルでもデザートのケーキにドライフルーツの加工したものが添えてあったのを思いだし、Yさんとうなずきあった。
楽しく美味しい昼食を終え、専用車はパールからミューゼンバーグを通りフォルス湾沿いを走った。
海側の道に車が何台も止まって、海を眺めている人々がいた。
Fさんが目ざとく
「クジラがみえます」
と言った。
専用車を止め、私達もクジラウオッチングに参加した。
事前調査では、クジラは運が良ければ見られるとあったので、私達は本当に運が良かったと嬉しくなった。
フォルス湾に面した<ボルダーズビーチ>でアフリカンペンギンの生息地を見学した。
有料の入り口を入ると、岩場から浜辺まで木道があった。
沢山の観光客と共に木道を歩いて行くとかわいらしいアフリカンペンギンがあちこちにいた。
木道の突き当たりは広いベランダのようになっていたが、そこは観光客でいっぱいであった。
人ごみを掻き分けて前に出ると、波打ち際を沢山のアフリカンペンギンが泳いだり素早く走ったりしていた。
その姿がとてもかわいらしく、皆がカメラを向けていた。
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アフリカンペンギン(ボルダーズビーチ)
駐車場に戻ると露店が出ていて、私は木彫りのアフリカンペンギンのキーチェーンを買った。
娘は木製の直径20センチのサラダボールを値切って買っていた。
そして
「格安の値段まで値切って買った」
と嬉しそうであった。
事前調査によると、ペンギン生息地はニオイがきついとの情報だったので
「ペンギン見学はパスします」
と旅行会社に連絡したが、スケジュールに組み込まれてしまっていた。
心配しながら見学したが、実際は海のニオイがして、ペンギンのニオイは感じられなかった。
こんなに近くでかわいらしいアフリカンペンギンを見ることが出来て、とても幸せであった。
専用車は喜望峰自然保護区内のフィンボスの草原を走り道路の終点に駐車した。
フィンボスの草原(喜望峰自然保護区)
ここはケープ半島最西南端の<ケープポイント>であった。
舗装された大きな駐車場があり、その周りはフィンボスなどの植物で一面が覆われていた。
展望台へいく道の入り口に<ケープポイント>の標識があった。
実際にはそこから先の岩場の端が<ケープポイント>であって、観光客が行くことはできなかった。
ケーブルカーで灯台が建つ展望台の<ルックアウトポイント>に行った。
ケーブルカーの終点駅から展望台までは階段を上って行った。
展望台からの見晴らしは、天気も良く、素晴らしかった。
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展望台からの眺め
階段を降り、ケーブルカーの終点駅にあるショップで私はケープポイントのキーチェーンを買った。
帰りはそこから駐車場まで歩いて下りた。
遊歩道は整備され、色々な花が咲いている坂道を下った。
ルックアウトポイントからケープポイントへの遊歩道
次はいよいよ憧れの<喜望峰>である。
専用車は喜望峰自然保護区内の崖をくだって<喜望峰>に向かって走った。
海岸の見える道を走り始めると、心臓がドキドキしてくるのを感じた。
いよいよ専用車は海岸の岩場に駐車した。
専用車のドアを開けた途端、磯の香りが広がり、本当に<喜望峰>に来てしまったのだとワクワクした。
<喜望峰>の標識の前では観光客が順番に記念撮影をしていた。
もちろん、私達も順番を待って記念撮影をした。
喜望峰の標識
そして海岸の岩場の行けるところの端まで行って、インド洋と大西洋を眺め南アフリカの最西南端<喜望峰>を感じ取った。
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喜望峰
事前調査では南アフリカの最南端は<アグラス岬>であり、そこに行くことも希望したがスケジュールの関係で予定表には載っていなかった。
残念であったが、私の夢の地であった<喜望峰>に立てたことは最高の幸せであった。
ちなみに、経度と緯度はつぎのとおりである。
<ケープポイント> 18°29’ 51” EAST LONGITUDE・34°21’ 24” SOUTH LATITUDE
<喜望峰> 18°21’ 25” EAST LONGITUDE・34°28’ 26” SOUTH LATITUDE
ケープタウンの<マウントネルソンホテル>に戻るため専用車は走り出した。
往路はパールからインド洋のフォルス湾側を通って<喜望峰>に来たが、復路は大西洋側を通って戻ることになった。
太陽が西に傾き始めた頃、夫が
「南半球では、もう二度と見ることができないであろう、大西洋に沈む夕日が見たい」
と言いだした。
私達もYさんもFさんも大賛成した。
Fさんは
「絶景の場所がある」
と言って、Yさんと相談の結果、有料道路を走ることになった。
<チャップマンズピークドライブ>というドライブウエイで、進行方向左手は大西洋の海を直下に見下ろし、右手は険しい岩壁を見上げて走った。
チャップマンズピークドライブ
途中専用車を降りて、見晴らしのいい岩場で絶景の大西洋に沈む夕日を感動しながら眺めた。
大西洋に沈む夕日
この時間のロスのため、Fさんは夕食のレストランへ予約時間の変更を電話連絡した。
日が沈み、ハウト湾やケープタウンの夜景を眺めながら<マウントネルソンホテル>に戻った。
夕食は<マウントネルソンホテル>の駐車場に面した所にあるレストラン<Leinster Hall>であった。
ドレスアップをした私達は、ホテルのガードマンに駐車場の扉を開けてもらって外に出た。
歩いて数分の<Leinster Hall>は暗くて敷地内がよく分からなかったが、エントランス前の正面に小さな噴水の池があった。
中に入りすぐ左手の部屋に入ると、大きなテーブルが5台ほどあり客は誰もいなかった。
私達は奥のテーブルに案内され、席に着いた。
YさんとFさんも一緒で、南アフリカ最後の晩餐になった。
レストラン内の壁には、縦2メートル横1メートルはありそうな肖像画が何枚もかかっていた。
Fさんの説明によると、南アフリカに貢献した人々とのことだった。
もちろん<ネルソン・マンデラ>の肖像画もあった。
食事は本当に美味しかった。
途中シェフ自らワインを注ぎにきて驚いてしまった。
デザートのアイスクリームが運ばれてきた頃に、10人位の若い人達が中央のテーブルに座った。
とても賑やかだったので、私達は彼らの職業が気になってうわさをすると、Fさんが
「たぶん音楽関係の人でしょう」
と言っていた。
食事中
「もし1,000万円が当たったら」
という話になり、YさんもFさんも
「南極に行きたい」
と言ったのが印象に残った。
南アフリカ最後の晩餐は、食事は美味しく、会話は楽しく、笑いが絶えない最高の時を過ごした。
マウントネルソンホテルに戻る道すがら、皆で夜空の星を見ながら南十字星を探した。
残念なことに、雲がところどころにでていて見ることができなかった。
部屋に戻り、スーツケースのパッキングの準備をして、ベッドに入った。