2 成田にて・ヒューストンにて・国内線(2004.9.3)


成田にて

コンチネンタル航空のカウンターで、搭乗券を受け取る時、ヒューストンからオーランド行きの飛行機がハリケーンで欠航、ヒューストンに2日間足止め、出発は2日後の便に変更されていると聞かされた。
私達3人は、パニックになりこれからどうすべきか声を荒げてけんけんがくがくとなった。
ヒューストンに宿泊する場合の宿泊代、他の航空便を使用する場合の航空券代等問題が発生した。
また前日に旅行会社から電話があったのは、このような問題の保険加入のことだったのかと分かった。
私はその時
『この旅行は中止すべきか』
と一瞬心が乱れたが、すぐ
『後には戻れない!目的は彼の家族に会うことだけど、ヒューストン観光のみで帰国もいいのではないか』
と思った。
息子もたぶん私と同じ考えだと想像した。
なにせ、ヒューストンに2日間足止めと聞いたときニタ!と顔がゆがんだからだった。
結局、ヒューストンまで行って、そこから先はそこで考えることにして、とりあえず、機上の人となった。


ヒューストンにて

テキサス州ヒューストンのジョージブッシュ国際空港に着き、預けたスーツケースを受け取り、私はさてこれからどうなるのかと、夫の後を人の流れに沿って歩いて行くと、コンチネンタル航空のカウンターが目に入った。
夫はカウンターに行き、搭乗券を出し、今後のことを交渉し始めた。
交渉の内容を私はよく理解出来ずにいた。
そこに、日本語の分かるスタッフが来てくれた。
そして
「<タンパ>と<ジャックソンビル>には飛行機が飛んでいる」
と日本語で話してくれた。
そのスタッフは、ちょうどランチの時間らしく、慌しく素気なくさっさと仕事を放棄して行ってしまった。
私は<ジャクソンビル>に直行できると分かり、今までのもやもやした気持ちが一掃され、なんとラッキーなことかと感激した。
さらに、搭乗券を無料で交換してもらい、大喜びしたのであった。
夫は、これらのことは予測していたらしく、冷静に対処していた。
そして娘に電話をした。
娘は、すでに、インターネットの情報で、全てのことが分かっていて、旅行会社の現地連絡先とも連絡がついていた。
「なぜ早く連絡をしなかったのか?」
と夫は娘に言われてしまった。


国内線<ヒューストン発ジャクソンビル着>

ヒューストンからジャクソンビル行きの飛行機は、通路を挟んで左1人がけと右2人がけの座席になっており、約60人乗りと思われた。
私達は着席しやっと落ち着いた。
機内サービスが始まり、夫は早速ビールを2本注文し、1本を息子に渡そうとしたら、スチュワードが息子に
「年はいくつか」
ときいた。
息子が
「25」
と言うと、スチュワードは軽く肩をすぼめた。
私と夫は笑ってしまったが、スチュワードと息子はにこりともしなかった。
そのスチュワードは、30代後半で歯を矯正しているゲイ風な人だった。
そして、私達の帰国時に、そのスチュワードはジョージブッシュ国際空港の公衆電話で送話口を手で隠すように、こそこそと電話を掛けているところを偶然見かけた。
息子と私は目配せをしながらスチュワードの前を通り過ぎた。